【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。







「赤くなっちゃってかわい」



「…もう、あたしが経験なさそうだからってからかってる?」






確かに男慣れしてなさそうだけどさ。
男友達だって夏向とかまこちゃんしかいないし。






「からかってないよ。真剣」



「……」



「どっか食べに行こうよ。ラーメンか牛丼、どっちがいい?」



「…ラーメン」





時刻は午後22時をまわっている。
他のバイトのひとは閉め作業をしてくれてるけど、あたしは初日だしってことで参加せずにあがらせてもらった。



水湊くんもそれに付き添ってあがりって言ってたけど…サボりたいだけじゃなくて?






「お先に失礼しまーす」


「お、おつかれさまです」





慣れてる様子の水湊くん。
しどろもどろなあたし。
ふたりならんで事務所から出ると、みんなも優しく挨拶を返してくれた。





「うー、夜はちょっと冷えるね」



「寒い? じゃあこれかけといて」