「じゃあ俺買い出し行ってくるから、あとよろしく」
店長さんは出て行ってしまった。
…自由な人。
急に二人きりで、気まずいんだけど…?
「凛久ちゃんって言ったっけ?」
「あ、はいっ」
沈黙を破ったのは佐伯さんだった。
わあ。近くで見れば見るほどモデルみたいでかっこいい。
こんなひとが教育係って、実は幸せかもしれない。
「俺のことは気軽に”水湊”って呼んでくれていいから」
「わ、わかりましたっ……みなと、くん」
あたしが反芻すると、佐伯くん…もとい、水湊くんは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
「あー……あと、敬語もいらない。もっと楽に接してくれていいよ」
「…うん」
少し話しただけで、優しいのが伝わってくる。
水湊くんは…誰にでも優しそう。
「水湊くん、モテるでしょ」
「…えー、モテそう?」
「うん」
とってもね。
水湊くんは困ったように眉毛を下げた。



