「あ」っていう店長の声。
入ってきたその人は、あたしと店長を交互に見る。
「佐伯(さえき)、ちょうどいいとこに」
「…な、なんですか」
「おまえ、今日からこの子の教育係な」
その人は「言うと思ったあ」ってうなだれる。
教育って荷が重いよね。わかる。
迷惑かけないように頑張らなきゃ……。
あたしの教育係に運悪く任命されてしまったこの人。
髪の毛はミルクティ色で、今はやりのマッシュっていうのかな。
年齢は…あたしと同じくらいに見えるけど?
「紹介するね。コイツは佐伯水湊。高校入学と同時に入ってきて、もう一年経ったから頼っていいよ」
「ちょ、ハードルあげないでよ店長」
「それから。この子は今日採用になった芦屋凛久ちゃん。優しくしてやれよー」
「無視かよ……俺女の子には超優しいんで任せてください」
佐伯さん。
かっこいいひとだなあ……。
今の話を聞く限り、あたしより一個上?
先輩だ。



