「いいじゃん、外の世界を見るチャンス与えてあげたんだしー」
「うん…」
今日、面接。
そうなんだけど……。
歩夢の声に反応したまこちゃんと夏向が、こっちに視線を寄越す。
「なになに? 今日なんかあんの?」
「あ、実は今日…」
「ハイハイ。あんたらには関係ないからこっち見んな」
あたしの言葉を遮って、歩夢が言う。
ふたりとも不思議そうな顔してるよ…。
それから、歩夢があたしの耳元でささやく。
「夏向には言わないほうがいいよ。絶対止めてくるから」
それだけ言うと、歩夢は自分の席に戻っていった。
止めてくるって……なんで?
歩夢は、その理由を知ってる…?
「ねー、なにがあんのか教えてよ」
「…な、ないしょっ」
とりあえず、言われた通り秘密にしておくね。
なんの意味があるのか知らないけど。
はじめてのバイト、ちょっとわくわくしてるから止められたら困るし。



