翌日。
ずっと漣の夢を見て苦しんでたけど。
最近は、夏向にキスされたときの光景をよく見る。
それはそれで苦しい。
…だってあんなの、普通じゃない。
「おはよ、凛久」
「……お、おはよ…」
それなのに、当の本人はいたって平然としてるし?
気にしてるの、絶対あたしだけだし。
あー、なんかアホらし!!
あたしの隣。
まこちゃんが寄ってきて、昨日のテレビの話をはじめた。
もう忘れる。
気にしたって無駄。
…どうせ、あの日の理由なんか聞けやしないんだし。
「お通夜モードじゃん」
「……んー」
あたしの後ろ。
まだ登校してきてないクラスメイトの席を陣取って、声を潜めた歩夢が話しかけてきた。
そうだよ…お通夜モードだよ、今のあたしは。
「座敷わらし」
「…わ、悪口だからそれっ」
歩夢はおかしそうにけらけら笑ってる。
もう……かわいいから許してあげるね。



