ーーパチ。
不意に夏向と目が合って、勢いよくそらしてしまった。
ああもう…今のは不自然すぎるって、あたし。
「なに、凛久? 顔赤くしちゃって」
見える。
見えてないけど、見える。
頬杖をついてこっちを見ながらニヤニヤしてる夏向が……!!
く、悔しい…っ
「あれ? ふたり、もうそういう感じ? ついに?」
「ちげえよ。残念ながらな」
あたしが答える前に夏向が答えた。
即答…。いや、いいんだけどね。
全然、いいよ。
友達だし、ただの。
『俺、お前といつまでも仲良く友達やってる気ないから』
頭に浮かんでは、消える。
もうやめて! 出てこないで!
あたしたちは友達、友達、友達……。
深く深く自分に言い聞かせて。
大丈夫だよ、芦屋凛久。
夏向はあたしのいちばんの友達なんだから。
…この関係が崩れるなんて、ありえないから。



