……うん。
そうだよね。
綾野さん、どこをどうみても夏向のこと好きだよね。
だとしてもここ最近は…ホントにベタベタし過ぎだと思う。
「そんな嫌な顔するなら行かなきゃいいのに」
…え?
嫌な顔、してる?
パッと顔をあげて隣の席に座る夏向の顔を見た。
眉間にしわが寄って…これ、夏向が心底迷惑に思ってるときの顔。
なんでだろう。
最初は、嫌な顔ひとつせずに行ってるって思ってた。
…でも、ホントは嫌なの?
行きたくないの? 夏向。
「別に。仮にも幼馴染だし、邪険にしようにもできねえんだよ」
「まあそっかー。親同士の付き合いもあるだろうしな」
幼馴染……。
一気に壁を感じた。
あたしが夏向のこと一番知ってるって思ってたけど。
もしかして、いちばんは綾野さん?
生まれた時から一緒にいるなんて……勝てるわけない。



