…ハイ。
本人に聞く勇気のひとつも持てないヘタレはあたしです。
「何があったか知らないけどさあ、毎日そんなんじゃ疲れるって」
「…うん」
分かってるんだけど。
どうしても……あの日の夏向の表情、忘れられない。
あれってつまり、『お友達辞めましょう』宣言ではないってことだよね？
「あ、カナ帰ってきた」
「おそ」
歩夢とまこちゃんの声で、夏向が戻ってきたことを知る。
当の本人は、変わらず綾野さんと一日一回はこうしておしゃべりにいってる。
…もう忘れちゃったのかな？ 夏向は。
あたしは今でもあの瞬間を鮮明に思い出せるのに。
こんなにドキドキしてるの、あたしだけ？
なんか悔しいから、まだ気にしてますなんて絶対言ってやんないけど！！
「最近、より一層って感じだよな」
「…なにが」
「柊里ちゃんのカナ好き好きアタック」
まこちゃんはそう言いながら夏向の肩にグーパンひとつ、軽く当てた。
