「うう、変だよ、夏向…っ」
「…なにが変?」
「あたしたち、友達なのに、こんなの……」
友達、ね。
そう思ってんのお前だけだけどね。
悪いけどさ。
今のお前、『夏向とは友達だから恋愛関係には発展しない』って自己暗示かけてるみたいに見える。
友達友達って、うるさいよ。
「俺、お前といつまでも仲良く友達やってる気ないから」
…あーあ。
大粒の涙、また頬を伝った。
なあ。
なに勝手に、悪い意味でとらえてんの?
「離さないよ、俺。お前のこと」
だからさ、はやく俺のほう見てくんね?
せめて男として意識しろよ。
「…かな、た」
うん。
凛久の、澄んだ声が好き。
細くて小さい手が好き。
俺を見上げる瞳が好き。
”芦屋凛久”って名前が好き。
……俺さ、おかしいくらい、お前のことが好きだよ。
もう決めた。
痛い目みるくらい、俺に愛されてみてよ。
自分で気づくまで好きなんて言ってやんない。
もういやだって泣いたら許してあげる。
…俺のこと意識しないから、お仕置きね。
「……んっ、!?」
だからこれは、マーキング。
花の散った木の陰に隠れて。
もう変な男が寄り付かないように。
赤くなった顔、かわい。
……俺、お前のこと、想像以上に好きみたい。



