「わかんないんだもん…っ」
「……なにが?」
「なんで、泣いてるのか…自分でも」
なにそれ。
じゃあ俺も分かんねえじゃん。
でも、ていうことは……誰かに傷つけられたとかじゃないんだな?
ひとまず安心。
「ただ……」
「うん」
「目が覚めたら、夏向が綾野さんと話してて……」
うんうん。
俺が柊里と話してて?
「やっぱりふたり、仲いいんだなあって思って…」
俺らが仲いいんだって再認識して?
「…なんか、モヤモヤして、…綾野さんが羨ましくなって」
なんか、モヤモヤして。
……んん?
「やだった……っ」
嫌だったって。え、待って。
それってさ……妬いたってこと?
思わず口角があがるのを抑える。
凛久が妬いてくれた。
…狙い通り。
泣くのは予想外だったけど。
てか、泣くほど嫉妬したってこと?
それとも、嫉妬するのに慣れてないだけ?
前者だと、もっと嬉しい。



