「凛久、おい…起きろ」
隣の席で気持ちよさそうに眠る凛久を揺さぶる。
かわいいけどさ。
もう放課後ね。俺とのデートは?
なかったことにしたくなくて、一生懸命起こす。
「ん…、んー……」
こんなうるさい教室で熟睡できるの、才能だろ…。
もうちょっとかもってところで、邪魔が入った。
「カナー、綾野さんが呼んでる」
俺の邪魔すんの好きだね、柊里。
めんどくさいけど無視するわけにもいかねえし。
俺は一旦凛久から離れて教室の入り口に向かった。
「ふふ。ちゃんと来てくれるとこやさしい」
「…じゃあもう来ないけど」
「待って待って!」
半分だけ振り返って、柊里に腕をつかまれた。
なに? あんまくっつかれると困るんだけど…。
「一緒にかえろ? カナくん」
男が好きそうな顔。
俺も男だろって? ちがう。俺は凛久限定の、男。



