幼少期から何度も聞いた言葉。
その延長線上だと思った。
でもどうやら違ったらしい。
『真剣だよ。結婚したいって意味の、好き。カナくんをあたしのものにしたい』
その頃にはもう凛久に惚れてた俺。
丁重にお断りしたはず。
『俺、好きな人いるし。柊里のことは幼馴染としてしか見れない』
昨日のことのように思い出せる。
こんな振られ方してめげないやついるんだ、って思ったよね。
『あたし、諦めないからっ! どこの馬の骨か知らないけど、あたしのほうがかわいいし、カナくんに似合ってるし!!』
そうやって、自分を上げて他人を下げるところが昔から嫌いだった。
無駄に自分に自信があって、諦めが悪い。
わるいけど。
今のお前の存在、凛久の引き立て役でしかないよ。
柊里のこと。
思えば、恋愛対象として見たことなんて一度もなかったかもしれない。



