「夏向とふたりでお出かけ久しぶりだねえ」
「…そうだな」
嬉しいって顔に書いてある。
俺のこと好きじゃないって、実は嘘だったりしねえかな。
毎日そんなこと考えてるけど。
凛久にとって俺は、毎日友達。
「ごちそうさまでした」
凛久はそう言ってゴミ箱に缶を捨てた。
続いて、俺も投げ入れる。
「夏向、お行儀わるーい」
「うるさ」
いいだろ。
凛久のことは至極丁寧に扱ってやるよ?
俺だったら、凛久のこと泣かせたりしないのに。
なあ、今日もアイツのこと考えてんの?
「一時間目なんだっけ」
「数学」
俺の隣で階段をのぼりながら凛久が聞いてきた。
答えると、凛久は「絶対寝ちゃうよ…」とうなだれている。
大丈夫、俺がしっかり目に焼き付けておくから。
凛久の寝顔。
「寝たら起こしてね」
「…あ、ハイ」
残念。
起こせって凛久の頼みなら仕方ないね。
でも寝顔はしっかり堪能してから起こすけど。
「んーっ」
凛久が華奢な体を上に伸ばす。
抱きしめたくなるから、その体勢やめて。
階段をのぼりきって、二階へ到着。
教室、階段のすぐ目の前。
「歩夢おはよーっ」
教室に飛び込んでいく凛久を見てた。
隣の席だからすぐ追いつくけどさ。
…俺がこの鈍感女に気持ちを伝えられる日なんか来るのかな。
今日も俺は、お前しか見えてないよ。
凛久は知る由もないだろうけど。



