【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。







「こうして二人きりになるのはじめてだね」





綾野さんが口を開いた。
まさかそちらから話を振ってくれるとは。
あたしが頷くと、彼女は続けて。





「いい機会だし単刀直入に聞くけど、芦屋さんってカナくんのこと好きでしょ」



「……え」





さっきまでとは打って変わってハキハキとした気の強そうな問いかけに、思わず口を閉ざしてしまう。





カナくん…は、夏向のことだよね。
またこの話題。
あたしは、夏向に恋なんか、しない!!





「す、好きじゃないよ!」



「…本当に? やたら距離が近いみたいだけど」



「ホント!! …その、あたしは綾野さんと夏向のほうがお似合いだなって思ってるから」







綾野さんは少し目を細めて、あたしの顔を凝視した。
う…そりゃ、あたしは大してかわいくもないし、夏向の隣に立てるほど釣り合ってないのも自覚してますし。




そもそも綾野さんに勝てっこないのに、敵視する必要なんかどこにもないでしょ……。