【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。







「…あ、」





結局、六時間目には参加せず、保健室に来た。
だけど、来てしまったことを少し後悔してる。




結論から言うと、先客がいた。
モカグレージュのセミロング。
二つ結び。



振り向きざま、目が合った。



”美少女”の言葉がいちばん似合う、彼女と。






「……芦屋さん」






あたしに向かって、ふわっと微笑んだ。
名前、知られてた。



……そりゃそうか。
夏向と仲いいし、この人。






「綾野さん……体調悪いの?」



「ううん。めんどくさくて。芦屋さんは?」



「あたしもサボり」





先生はいないらしい。
イスに腰をかける綾野さんの向かい側、先生用のイスに座る。




……なんか、気まずいなあ。
勝手に引け目を感じてるだけだけど、きっと……綾野さんは、あたしのこと好きじゃないし。




歩夢の言ってた通り、夏向のことが好きなんだったら。