「…あ、え、」
「……俺じゃ、ダメかな…?」
まっすぐ見つめられて、言葉に詰まる。
どうしよう…人生ではじめてだ。
と、とりあえず。
返事は…したほうがいいよね。
「ご、ごめんっ……」
「え…」
「あたし、今彼氏とか、そういう気分になれなくて……」
ほんとう、ごめん。
だけど…こんなあたしを好きになってくれて、ありがとう。
「そっかあ…俺そんなに関わりなかったもんね」
それもあるけど。
やっぱり…付き合うのは、ちゃんと好きになってからのほうがいいしね。
「返事くれてありがとう」
「うん」
「……でも、教室とかで気まずくなるのはナシだから!」
それだけ言い残すと、宮田くんは「先戻ってるわー!」と走っていった。
まだ、今のが現実だったのか曖昧で、ふわふわして廊下に立ちすくんでいると、少ししてチャイムが鳴った。
…あー。
サボっちゃおうかな。



