「…いや、」
「凛久のこと邪魔だと思ってるみたいな口ぶりに見えたけどー、あゆには」
否定しようとする中村さんの言葉を遮って歩夢が追い打ちをかける。
……邪魔。
そっか、あたしって、夏向のこと好きな人たちにとっては…。
心臓が叩かれてるみたいに痛い。
…そりゃあ、夏向はただの友達っていうのは、あたしのエゴにすぎないよね。
「やだな。…何言ってるの、矢沢さん」
「別に。気になっただけだし」
途中から口をはさんできた歩夢によって、あたしと中村さんは会話の糸口を見失ってしまった。
どことなく気まずい空気が流れる。
何か話さなきゃ、と思っているうちに中村さんがひとり立ち上がって。
「じゃあ、もう行くね。…教えてくれてありがと」
あたしのほうを向いてふわっと笑ったあと、元いた女子グループの中に混ざっていった。
……結局本当に探りをいれてきただけだったんだろうなあ、と今では思うけど。



