そんな絶賛思春期中のあたし、芦屋凛久(あしやりく)は、まさしく”平々凡々”の四文字が似合う女の子。



女子高生なりたて。まだ汚れの一切ないぴかぴかの制服。
身長は１５５ｃｍ、体重も平均より少し下。
髪型はダークブラウンの少し暗めカラーに、ゆるく巻いた胸までの髪の毛。




別に、顔面普通。成績普通。運動神経、ちょっと三角。




凛久という男の子っぽい名前、昔は嫌いだった。
だけど、今はちょっとスキ。



理由は、この隣でのんきにあくびをこぼしている男、森瀬夏向(もりせかなた)が褒めてくれたから。





バレたら怒られちゃうから、ちょっとだけ横顔を覗く。




端正な顔立ち。スラッと通った鼻筋。
ほどよく肉付いた顔と身体。
ちゃんと男の子だなあ、と感じさせる骨ばった手。




髪色はモカブラウン。
あたしと同じ、暗めカラー。



ふわふわじゃなくて、サラサラ。
毎日ヘアケアちゃんとしてるんだって、女子みたい。