「ねえ、隣座ってもいい?」
突然声をかけられて顔をあげれば、そこには毎日見る顔のクラスメイト。
名前は……えっと、確か中村さん?
「いいよ」
「ありがとう」
あたしの横にすとん、と身軽そうな体を下ろして、内また気味に足を延ばす中村さん。
サラサラとした黒髪は肩まで伸びていて、黒目がちな目は綺麗な二重幅を保っている。
……話したことないし、気まずいけど。
なんであたしの隣に……?
視界の隅に映っただけだけど、中村さんさっきまで友達と四人グループくらいで盛り上がってたよね?
そんな疑問が頭の中をぐるぐると駆け巡っていると、中村さんが先に口を開いた。
「芦屋さんって、さ」
「は、はいっ」
びっくりした……。
普段苗字で呼ばれることないから、ドギマギしちゃった。
中村さんって、声も透き通ってて綺麗だよなあ。



