やっと視線をバスケットボールに戻して、また前後に転がす。
別に、いいんだけど。
全然いいんだけどね?
みんなからモテてるときの夏向は”みんなのもの”って感じがして、少しだけ寂しい。
……なんて言ったら夏向は絶対調子に乗るから言ってやんないけど。
「おい、バカ女」
「だっ……だれがバカッ……」
顔を上げて夏向と目が合ったあと、続きを言うのもばかばかしくなって口を閉じた。
バカじゃないし……そこそこ勉強できるし……たぶん。
活躍できてテンションが上がっているのか、こわいくらいにずっとニコニコしている。
気分良さそう……。
「おまえ、さっき俺のこと見てなかった?」
「……見てないよ」
「えー。……歩夢、ホントは?」
「見てた。超見てた」
あーっ。
歩夢に聞くのはずるい!!



