「夏向がずっと一途にあたしだけを見てくれていたから、あたしは自分の本当にほしいものに気づけた」
ずっと前から、夏向にはあたしだけでいいって思ってた。
他にはなにもいらないんだよ、本当に。
「……夏向が、欲しい。…森瀬、凛久になりたい」
もう迷わない。
まっすぐ、本音をぶつけたい。
夏向は少しかたまったあと、ふはっと笑って。
「おまえ、ぶっこむね」
うん。
だって…欲しいもん。
なりたいんだもん。
何十年先、夏向が隣にいない未来なんて考えられない。
「…うん、いいよ。大人になったらちゃんとプロポーズする」
だから。
その言葉は、まだお預けね?
夏向に見とれた。
ぜんぶ、好き。
声も、しぐさも、あたししか見えてない瞳も。
好きで、好きで、たまらない。
「それまで、ずっと好きでいてくれる?」
夏向が聞いた。
「…夏向こそ、あたしに飽きないでよ」
あたしは答える。
もう一回、ふっと笑って、
「4年も毎日想い続けてた女のこと、いまさら飽きたりしねえよ」
そっか…。
それもそうだね。
4年って言う月日は本当に長いと思う。
でも、きっと、あたしのことを好きだった期間…ちっとも苦じゃなかったって、夏向は言う。
あたしが水湊くんと付き合いはじめたときはさすがに堪えたけどねって付け足す。
「…やっと、俺のこと見てくれた」
これからは、毎日。
体に穴が開くくらい、見るからね?
覚悟してて。夏向。
誰もいない、昼下がりの教室。
雨は、いつのまにか止んでいた。
ふたり。
どちらからともなく、甘い甘い、胸焼けしそうなキスをした。



