…好きだよ。
誰よりも一番。ううん、唯一。
二番も三番もいない。
あたしには夏向だけでいい。
だから、ねえ……目を覚まして。
「…今の、ホント?」
ハッ…と、現実世界に引き戻される。
視界にとらえた夏向と、間違いなくばっちり目はあっていて。
途端に恥ずかしくなって、目をそらした。
「目、そらさないで。…俺だけ見て」
夏向しか、見てなかった。
…見えてなかった。
水湊くんと付き合ったり、漣と会ったりして、ようやく自覚できたの。
今ならはっきり言えるよ。
「好き」
もう一度、今度は目を見て言うね。
上半身を起こした夏向。
優しい香りに包まれて、夏向に抱きしめられていることを知った。
「っ…遅せーよ、バカ」
「うん…」
夏向への気持ち、ごまかそうとしてた。
恋じゃないって、自己暗示。
もう、必要ない。



