「…どっからどう見ても、両想いじゃん」
「え…」
「なんかもう、いいや。…全然諦めつかないけど、芦屋さんに譲ってあげる」
そういえちゃう綾野さんは、やっぱりあたしより全然大人だ。
あたしだったら……好きな人を他人に譲るなんて、絶対ムリ。
…誰にも渡したくないよ。
「言っとくけど。何年も好きでい続けて、疲れただけだから。芦屋さんのこと認めたわけじゃないし」
素直じゃない、綾野さん。
なんだかかわいくてふふって笑った。
「…なに笑ってんの」
「ううん。綾野さんかわいいなって」
あ。
顔真っ赤。
はじめてみる表情。
かわいいなんて言われなれてるはずなのに、まさかあたしに言われるとは思ってなかったんだろうな。
「…と、とにかく!」
「うん」
「これですぐ別れたりしたら、許さないからね」
付き合う前提で話が進んでる。
そうだね。もう、手放したりしない。
ーーキーンコーンカーンコーン…。
五時間目の予鈴が鳴った。
綾野さんはすっと立ち上がって、スカートのプリーツをなおす。
「…ま、がんばってね」
言い捨てるように保健室から出て行った。
…応援、された。綾野さんに。
……うん、がんばらなくちゃ。



