保健室。
こういうときに限ってデジャブって起きるんだよね。
「…あ」
あたしの声で振り返った彼女。
もう何度も見た。夏向の周りに引っ付いてる姿を。
可憐で、かわいくて、女の目から見てもかわいすぎる。
綾野、柊里さん。
「…アンタも偏頭痛?」
「うん」
「そ。気が合うわね、うざいけど」
うざいって…。
あたし、ずっと綾野さんとふたりきりで喋りたかった。
一応…ほら。
夏向の幼馴染だし。
断り入れとかないと。
あたしはいつかの日と同じように、先生用のイスに腰を掛けて綾野さんと向き合う。
…こんな女の子、好きにならないわけない。
綾野さんがずっとそばにいたのに、夏向は…。
四年間も、あたしだけを見ていてくれた。
「…文化祭の日のこと、覚えてる?」
綾野さんはあたしから目をそらして話し出した。
文化祭。…覚えてるよ。
夏向にキスをされた日。
そして、水湊くんに振られた日。



