「漣のこと、ずっと大事にしてあげられなかった。…きっと、漣だってあんな言葉言いたくなかったと思う」
あんな別れ方、望んでいなかったと思う。
「…大好きだった。本当に」
凛とした目も、その奥二重も、鼻も、口も。
スラッと伸びた手も。
女として自信を無くしそうなくらい細いスタイルも。
あたしを、はじめて女の子扱いしてくれたひと。
あたしのはじめてをもらってくれたひと。
だから、誰よりも大切だった。
「…りっちゃん、変わったよな」
そうかな。
それでも、未熟な心はあのときのままだよ。
現在進行形で。
過去のことをいつまでも引きずって、本当の気持ち、まだ言えてないんだから。
「久しぶりに会ってみたらさ、昔より格段にかわいくなっててビビった」
「…そう?」
「うん。俺あんま、軽くこういうこと言わないから」



