「今更言っても遅いんだけどさ」
ううん。
聞かせて、あの日の話。
「…一回も、りっちゃんと付き合っててバカにされたことないよ」
あたし、俯いた。
そっか…よかった。
じゃあ、漣に似合う、立派な彼女でいられた?
「むしろ、羨ましいって言われてた。だから余計にとられたくなかった」
「…そっか」
二年越しにでも、ちゃんと話を聞けてよかった。
あたし…漣に恥ずかしい思いさせてたわけじゃなかったんだね。
「あのとき。…俺、自分じゃ想像しきれないほど、りっちゃんのこと傷つけた」
「…うん」
傷ついた。
すごく。今でも引きずっちゃうくらい、忘れられなかった。
「だから、ずっと謝りたかった。…ごめん、りっちゃん」
しっかり名前を呼んで謝ってくれる。
漣の変に律儀なところ、昔から好きだったよ。
「あたしこそ、ごめんなさい」
ブランコから立ち上がって、漣の前に立った。
あたしを見上げてから、「なん、で…りっちゃんが謝るんだよ」って。



