「お母さん!!」
「あら、凛久おはよ」
バタバタとリビングに降りて行って、普段から早起きのお母さんの元へ駆け寄る。
「ねえっ、変じゃない? 似合う?」
あたしの質問に、お母さんは少しだけ目を丸くした。
そのあと、下から上まで視線を動かして、ふっと目を細めて笑った。
「大丈夫。かわいいよ」
「…ホ、ホント?」
「うん。ていうか、なに? デート?」
「デッ……」
あたしのバカ!!
そこで言葉に詰まったら肯定してるみたいじゃん!!
デートとかじゃない。断じて!!
あたしが夏向と付き合ってたら、ダブルデートで成立したんだけどさ…。
ぶんぶんと首を横に振るあたしを見て、「なんだ違うのかぁ」と残念そうに言う。
いや!! 勝手にそういう想像するの、やめてください!!
「も…もう、行ってきます!!」
「はぁい。あんまり遅くならないようにね」
お母さんの忠告を後ろから聞いて、あたしは家を飛び出した。
昼前の空気は、少し肌寒いくらいだった。



