「何度だった?」
「朝は、39度」
「39!?」
驚くよね。
たぶん…体感、それよりは絶対下がってる。
…いや、どうだろうな。
夏向に会えて、一時的に舞い上がってるだけかもしれない。
またあの熱のだるさがぶり返すの嫌すぎる…。
「マジか…想像以上にやばいじゃん」
アイスをたべながら、夏向の顔を見る。
…やっぱり、整ってるよなぁ。
何回見たって、何回会ったって、
どうしてあたしなの? 夏向と付き合いたい子なんか五万といるんだよ? って。
ずっと不思議だよ。
ぱちっと目が合っても、そらせなかった。
…そらしたくなかった。
「そういえばさ」
「…ん」
「知恵熱って聞いたんだけど、何をそんなに考えてたわけ?」
……きっと、言ったのは歩夢だろうな。
なんで急に熱出したの? って聞かれて、『さあ? 知恵熱でしょー』って答える歩夢の姿が容易に想像できる。
赤ちゃんじゃないんだから。
…そんなんじゃないよ。
でも、きっと原因がわかってるとすれば。
夏向のことで頭いっぱいになってたせいです、なんて、絶対言えない。
「…ナイショ」
今はまだ。



