逃げた。
意味がわからなくて首をかしげた。
綾野さんは、昔からずっと夏向のこと追いかけまわしてたって。
夏向は、幼馴染じゃなくなるのが怖くて逃げたって。
…相思相愛だったのかな。
今となっては、わからない。
『…好かれる要素なんかねーのに、バカだよな』
夏向はやたら自分を卑下してた。
今みたいに自信家じゃない。
…いや、今だって、本当は自分に自信がないのかもしれないけど。
『そんなことない!! ……夏向は、あたしの憧れだから』
ねえ、今もだよ。
なんでもそつなくこなせて、先生からの信頼もあつくて。
友達は多いし、女の子にも人気だし。
……かっこいいし。
夏向の友達でいられて、幸せだった。
夏向に好きになってもらえて、幸せだった。
だから次は…。
あたしが、返さなきゃいけない、かな。
…もう少し。



