テレビから聞こえる悲鳴。
こんなに近い距離で流れているのに、ずっと遠くから聞こえるみたい。
…それくらい、今、夏向しか見えてない。
おかしいよ。
夏向は、あたしのお気に入り。
恋愛対象になんかなるわけないって思ってた。
夏向はぜーんぜん、気づいてない。
あたしに釘付けなくせに、あたしの気持ちまでは読めないみたいだね。
「…凛久ってなんでそんな可愛いの?」
昔の夏向じゃ考えられないセリフ。
っていうか、数か月前まで、こんなこと言えちゃうメンズだとは思わなかったなぁ。
「んー……夏向には教えない」
きっとね、あたし今ハッピーだから。
夏向が知るのはもうちょっと先。
我慢できる? それまで、っていうか、何年たっても。
あたしのこと、好きでいてよ。
綾野さんと…付き合ったり、しないでね。
あたし今度こそ泣いちゃうから。
この前も泣いたけど、もっとすごい号泣。
「なあ、凛久」
「んー?」
夏向の指、細くてスラッとしてる。
かっこいー…。
ぼーっとしながら無心で夏向の指をいじいじしてたら。
「……はやく、俺のこと見てくんない?」
切なそうな夏向の声に、胸が揺れた。
…見てたよ。見てるよ。
でも……。
伝える勇気はまだ出ない。
だって、やっぱり、怖い。



