「かな、た…」
「…襲われたいってことでいい?」
いや。
…いや!?
「よ、よくないっ、離れます、離れ……っ」
慌てて夏向から距離を取ろうとするけど。
夏向ね。こういうとこだけ男を見せてくる。
すんごい力で引き寄せられた。
…敵わない。
「ダーメ。…離さねーよ? 凛久」
そ、そんな声で名前呼ばないで…。
ドキドキして、死にそうになる。
っていうかもう、生命を絶たれる寸前。
恐るべし、森瀬夏向。
「も、もう…こんなの……夏向にされたい子、いっぱいいるよ…」
抱きしめて、『離さない』って。
言われてみたいよね。
女の子なら一度はあこがれる。
「…俺は凛久にしかこんなことしない」
あ、うん。そうだよね。
夏向あたしのこと好きだもんね。
……あー。墓穴掘った。
あたしも、顔真っ赤。
「続き、見なくていいの?」
夏向に聞かれたけど。
あたし、弱弱しく首を横に振った。
「もう、集中できない……」
夏向のせいで。



