【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。






「…夏向、どんな感情で見てるの?」


「え? …この女優、演技すごいなって」





冷めすぎ。
演じてる人にも失礼だよ、それ。




「もうほぼ無感情じゃん」


「凛久がビビりすぎなんだろ。まだ導入だぞ」


「いや…、邦画ならまだしも、洋画は…!!」



「何言ってんだか。邦画でもビビり散らかすくせに」





う…。
確かに、日本の映画のほうが現実味あって苦手かも…。



だとしても、海外はダイナミックすぎだよ!!
見てられない…。




あたしは夏向の腕に顔をくっつけて、時々視線を画面に動かすだけ。
基本、目は閉じとく。怖いから。





「あのさー……」





返事する余裕もない。
画面の中では、次々と人がゾンビに噛まれていく。





「生殺しなんだけど、これ」


「…へ?」





夏向の顔を見上げた。
こっちを向いてるわけではないけど…。




気のせいかな?
顔、赤い。