『漣のこと、好きっ……』
不器用な告白だったと思う。
それでも漣は優しく笑って、あたしに問いかけた。
『俺の彼女になりたいんだ?』
あたし、必死に何度もうなずいた。
何かにすがってでもなりたかったもの。
……漣のカノジョ。
思えば、漣は少し……いや、結構夏向と似てたかも。
『いいよ。今から、りっちゃんは俺の彼女ね』
でも、夏向といちばん違うところ。
漣は、あたしを”りっちゃん”と呼んだ。
その響きが、いやに暖かくて……。
端的に言うと、好きだった。どうしようもなく。
あの頃、毎日が宝物みたいで、誰かと付き合うの自体初めてだったあたしは、すべてがキラキラして見えた。
漣はあたしにいろんなものをくれた。
おそろいのキーホルダー。
ペアルックのTシャツ。
……ファーストキスも。
『俺、りっちゃんとキスしたいかも……』



