( 凛久SIDE )
◇ ◇ ◇
水湊くんと別れて、数日。
11月に入って一気に涼しくなった。
今でもたまに、ひとりになると涙が出るよ。
…好きだったのに、引き留められなかった。
そんな権利、なかったから。
大好き。
その言葉に、効力がないことくらい、もうわかってた。
気持ちこもってなかったよね。
あたし。ちゃんと思ってたはずだったのになぁ。
「まだ傷心モードか」
そんな簡単に治らないよ、心の傷は。
文化祭が終わって、何か月ぶりかの席替えをした。
場所は完全ランダム。くじ引き。
…だったのに、あたしと夏向、次は前後。
前が夏向で、あたしがうしろ。
休み時間になると、夏向がうしろを向いてしゃべりかけてくる。
あたしが大好きだった、頬杖をつきながら微笑む夏向を見る機会は、ぐんと減った。
「…忘れらんない」
水湊くんがくれた日々のこと。
忘れようとすればするほど、もっと脳裏に焼き付いて離れてくれない。
端的にいうと、とても苦しんでる。
あたし、今。



