「…カナタくんといたんでしょ?」
「っ…」
ほら、図星。
そういうことだけわかっちゃう。
ていうか、わかりやすい。
もうね、いいよ。
「無理しなくて、いいよ」
俺のこと、最初から最後まで、本当に好きだった?
くれた”大好き”は、ぜんぶ本音だった?
「…無理、なんか…」
してる。
いまだって、そう。
ふたりきりなのに、一瞬も目が合わない。
…俺のこと、好きじゃないでしょ。
最初からさ。
「…俺ね。多少強引でも、凛久ちゃんが俺を見てくれるならそれでいいと思った」
でも違ったよね。
凛久ちゃんの目線って、いつでもカナタくんだったね。
海の家のときもそうだったけど。
カナタくんのこと気になりすぎてて、無理。
嫉妬するの、もう疲れた。
「……もう、別れよっか」
「え…」
おおつぶの涙。
好きじゃない男に振られたからって、泣いてくれるんだね。
最後まで優しくて、愛おしい。
本当に大好きだった。手放したくなかった。
笑ってバイバイ、しようよ。
『凛久のこと泣かせたら、本気で奪いに行くから』
カナタくんに言われた日のことを思い出す。
…うん。守れなかった。でも、これが最後。
あとはキミにぜんぶあげる。
凛久ちゃんのこと、たくさん笑わせてあげて。
「凛久ちゃん、大好き」
過去形じゃなくて、今も。
ずっと、まだしばらくは大好きだと思う。
「……3か月、ありがとう」
ただの友達にもどろう、凛久ちゃん。



