( 水湊SIDE )
◇ ◇ ◇
文化祭終わり。
凛久ちゃんの教室で、ひとりきり。
飾りつけされたままの教室は文化祭の名残で温かい。
…俺さ、もう決めた。
これ以上、凛久ちゃんを好きでいるの、キツイ。
付き合ってるのに片想いだし。
分かってた? あの鈍感ちゃんは。
しばらくして、凛久ちゃんが教室に戻ってきた。
教室に一歩足を踏み入れて、すぐに立ち止まる。
からだが硬直したみたいに一瞬、動かなくなった。
ね。
そうやって目をそらしてうつむくのは、後ろめたいから?
申し訳ないから?
…わかんないよ、もう。
凛久ちゃんのこと、なんにも。
「…ごめん」
開口一番、凛久ちゃんはそういった。
ごめんって、なんのごめん?
俺を置いていったことについて?
それなら気にしてないよ。
…いや、気にしてないは嘘だけどさ。
だって、凛久ちゃん。