【完】超一途な彼はお友達じゃ我慢できない。






「…っはぁ…」




息を切らして立ち止まる。
ふと横を見ると、暗幕の垂れた空き教室。
…更衣室か。ひとりになるにはぴったり…。




のんきに思っていたら。




ーーグイッ




突然腕を引かれて、教室の中に押し入れられた。




「っ……かな、」




…夏向。
なんで、追いかけてくるの?



壁に押し付けられた。
いわゆる”壁ドン”状態。





「…んむ、…っ」





強引にキスされた。
何度目か、もうわからない。




彼氏いるのに、とか、そんなこと考える余裕はもう残ってない。




あたしも最低。
夏向も最低。




ね、最低同士、仲良くできそうだね。




苦しくなってきて夏向の胸を叩いた。





「…お前さ、さっきのアレ、なに」


「…あ、あれって?」





おおかた、綾野さんに好き勝手言ってしまったことだろうけど。





「なんで…俺のことかばってくれたの」


「…別に、そんなつもりじゃなかったよ」




それは本当。
だって、なんか、なんかさ。





「…ムカついたんだもん。綾野さんに」





めちゃくちゃな理由。
それでも、一瞬固まったあと夏向は笑ってくれるから。





「…それってつまり、嫉妬だろ」





…そう、なのかな。
わかんないや。
午前中からずっとモヤモヤしてた。



本当は、あたし、夏向の隣に行きたかった…?





「…かわいすぎだから」





もう一度、くちびるを重ねた。
なんでもいいよ。…どうにでもなれ。



人生って意外と、なるようにしかならない。
いまさら気づいたよ。