「び…っくりしたぁ」
「はは、ごめんね」
もう。
急にそういうことするから…。
「あ、そういえば水湊くん」
「うん?」
「体育館で2年生が演劇してるみたいだよ」
風の噂ね。
みんなが楽しみにしてたから。
「行く?」
「いってみよ」
ふたり、手を繋いで体育館へ向かう。
足取りはすこし軽く。
…でもすぐに、足を止めたくなった。
「…あ」
夏向と綾野さん。
ボードをもって仕事中の夏向にもお構いなしで腕を絡めてベタベタしてる。
…イライラ。
仕事してるときくらい、自由にさせてあげてよ。
夏向のこと縛りすぎじゃない? 綾野さん。
あたしには関係ないけど。
なんか、ちょっと。
見ていたくなくて、目をそらした。
「…凛久ちゃん? どした」
「あ、ううん。なんでもない、はやくいこっ」
あたしも対抗心で、水湊くんに腕を絡めてみた。
ちょっと恥ずかしそうにしながら満更でもないんであろう水湊くんは、「えー、なに? ははっ」なんて笑ってる。
…あたしには水湊くんがいるし。
それだけでいいし、絶対。



