それから、無事に午前の仕事が終わって、あたしは水湊くんと待ち合わせの場所へ。
夏向に仕事の引き継ぎなんかしてやんない。
ボードをポンッて教室に置き去りにしてきた。
「おまたせっ」
「待ってないよ」
流れるように水湊くんの手を取って、恋人繋ぎ。
やっと自由時間だから、好きなとこいきたい。
「水湊くん、もういろいろ回っちゃった?」
「うん。でも凛久ちゃんが行きたいところでいいよ」
「…ホント?」
「どこでもお供します」
そういって優しい笑顔を浮かべる、いつも通りの水湊くん。
…うん。大好き。
胸やけするくらい優しくて甘いのが、大好きだった。
「てか、そのかっこうマジでかわいいね」
「そ、そう?」
「うん。ナンパとかされなかった?」
ナンパ?
うーん…。
「ナンパはされてないかな」
「じゃあよかった」
心配してたんだからね、と怒るふり。
怒れないよね、水湊くん。
付き合ってて怒られたこと、一回もない。



