「……夏向、綾野さんと何話してたの…?」
ええい、思い切って聞いちゃえ!!
さりげなく問いかけたつもりだった。
でも……。
ふっと視界がずれて、不意に夏向と目が合う。
糸が切れたみたいに顔が熱くなっちゃうのは、きっと。
「へえ、気になるんだ? 凛久がかわいー声で”夏向くん”って呼んでくれたら教えてやってもいいよ?」
……きっと、夏向のせいなんかじゃない!!
「べ、別に気になってないもんっ」
「うわ。凛久のツンデレとか需要どこ?」
「……しっ、失礼な……!!」
あるもん! 需要! たぶんね!!
相変わらず意地悪発言を連発する夏向に、これ以上振り回されてたまるかと窓のほうを向いた。
「なー、凛久? ……怒った?」
そんな子犬みたいな声出されて、あっさり夏向のほうを振り返ってしまうあたし。
……ちょろいなあ、と自分でも思います、ハイ。
「チョロ」
でも!!
夏向にそれを言われるのだけは、絶対に納得できません!!



