いたたまれなくなった。すごく。
あたしのせいで傷ついてる夏向、見たくなくなった。
「…もう、帰ろうよ」
飾りつけも終わったしさ。
明日を待つしかないよ。
カバンを持って、教室を出ようと足を動かし始めたとき。
ーーパシッ
腕をつかまれて、引き寄せられて、それから…。
「…っ」
ふわ、って。
夏向の香りに包まれた。
…なんで、そうやって、抱きしめるの。
あたしに彼氏がいること知っててこういうことするのはなんで?
自分が好きならなにしてもいいの…?
「…俺があげた香水、つけてる」
「うっ、うん…」
「…かわいい」
夏向の低い声。
癖になる。
何年もそばで聞いてきたのに、いまさらドキドキしてしまうのは。
「…俺のこと、どう思ってるか言ってみろよ」
きっと、夏が残したイタズラ。
ありがた迷惑だよ……ほんとうに。



