「お、おもじろがったねえ……」
「あははっ。泣きすぎ、凛久ちゃん」
シアターを出て、凛久ちゃんはハンカチで涙をぬぐう。
そんな泣けたかなぁ…。
いい話ではあったけど。
でもこれが、男子と女子の感性の違いなんだろうね。
俺には一生わからない。たぶん。
「あたしもあんな恋してみたいなぁ…」
ねえ、凛久ちゃん。
俺たち、どちらかが先生ってわけじゃないけどさ。
この恋じゃ、満足できないの?
…やっぱり、俺じゃなくていいんじゃないのかな。
凛久ちゃんのこと幸せにする方法、これ以上見つかんないよ。
「水湊くん、ゲーセンいこ」
くいって袖を引っ張られた。
…まあ、俺のモノでいてくれるうちはいいか。
って、この妥協がいつまで続くかわかんないけどね。
「いいよ。プリクラ?」
「えー、今日は顔ぐちゃぐちゃだからまた今度!」
…今度。
今度、ねぇ。
凛久ちゃん。
俺が隣にいるのが当たり前だと、思ってるでしょ。



