「すぐ中身入れ替えてたし。優しいなぁ、夏向くんは!」
「…そんなんじゃないって」
そっか。
満更でもないんだね。
…あたしだけじゃダメなの? って。
こんなこと考えるの、変かな。
謎のモヤモヤ。
綾野さん、夏向を取らないでよ。
…まあ、いいけど。渡せたし。
これで任務完了。
だけどなんかなぁ……最後に、聞きたくないこと聞いちゃったな。
「飲み物買いに行こうぜ、カナ」
「おー、凛久なんかいる?」
「…抹茶ラテ」
まこちゃんと夏向がいなくなったあとで、机に突っ伏してため息ついた。
「最後に爆弾落とされたね」
すぐに歩夢が寄ってきて夏向の席を陣取る。
うん。爆弾だね、あれ完全に。
「なんで凛久は、綾野がカナに誕プレ渡してんのが嫌だと思うの?」
…なんでって。
…なんで?
わかんないよ。
てかそれが分かってたら苦労しないよ。
「めんどくさい性格してんね、凛久って」
うん。
あたしがいちばん、よく分かってる。