「うわ、カナなにそれ! 超いいの持ってんじゃん」
まこちゃんが寄ってきた。
夏向が手に握っているボールペンを見て、たちまち笑顔になる。
「いいだろ。もらった」
そんな自慢みたいに…。
いや、自慢、なのか? 夏向にとっては。
「凛久に? いいなー、俺にもちょうだい」
「覚えてたらね」
まこちゃんの頼みを適当に流した。
それはね。
夏向だけ特別だから、同じものはあげないよ。
「学年の美少女二人からこんないいプレゼントもらって、モテる男はつらいねぇ」
「バカ、やめろよ」
…え?
ふたり?
それって、もし仮にひとりがあたしだとして、もうひとりは…。
「財布もらってたじゃん。柊里ちゃんから!」
…綾野さん。
当たり前だ。存在を忘れてたわけじゃなかった。
幼馴染なんだから、そりゃ渡すに決まってた。
…財布、かぁ。
普段使いできるもの選ぶよね。
夏向のこと好きなんだったら、なおさら。



