ええい、迷ったときは歩夢だ。
あたしはスマホを取り出して歩夢に電話をかけた。
5コール目でようやく出た歩夢は、眠たそうな声をしていた。
『…もしもし…?』
「あ、ごめん歩夢。起こしちゃった?」
『…ん…』
超眠そう。
申し訳ないことしたとは思ってるよ。本当に!
でもね? こっちはこっちで大問題なのよ。
『あー…目覚めた。で、なんか用?』
「そりゃ、用があってかけたんだけどさ…」
いつも通りの歩夢。
目覚め良いよね、昔から…。
「その。…夏向に誕プレをあげるかどうか迷ってて」
『…はあ? 今更そんな初歩的な悩み? 脳みそ退化してない?』
うっ。
グサグサ、心に刺さる。
歩夢はっきり言い過ぎだよ…。
「だ、だって。あたし彼氏いるじゃん? でも今年になって急に渡さないのもどうなの? って思って…」
電話の向こうで歩夢のため息が聞こえた。



