「はー、歌った歌った」
「超疲れた」
カラオケから出た俺たち。
俺、ほぼ歌ってないけど。
一生ドリンクバーに飲み物くみにいく係してたし。
俺を元気づける会じゃなかったのかよ。
むしろへこんだぞ。パシられて。
「俺ら今から飯食いに行くけど、カナは?」
「…あー、いや、俺はいい」
疲れたから帰る。
俺の返事に麻琴は口をとがらせて「ノリわりいなー」って言ってくるけど、無視無視。
じゃあな、って言ってふたりと解散。
駅前から歩いてすぐの住宅街に俺たちの家はある。
中学が一緒だから、だいたい家の場所も固まってる。
俺の家に帰るには、通常のルートだと凛久の家の前を通らなきゃならない。
遠回りすることも考えたけど…そんな気力は残ってなくて、一刻もはやく家に着きたかった。
ここだ。
この角を曲がれば、すぐに凛久の家が見え…て…。
ーーバッ。
慌てて角に体を隠す。
…絶対、俺今、見ちゃいけないものみた。



