( 夏向 SIDE )
◇ ◇ ◇
やってしまった。
ひとりになった保健室で、頭を抱える。
…したかったからって、なんだよ。
キスした理由なんて、俺もわかんねえよ。
さっき、凛久に嘘をついた。
夢の中で俺の名前呼んでたって言ったけどさ、あれ嘘。
本当はミナトの名前呼んでた。
悔しくて嘘ついて惑わせてみた。
ガキすぎるよな、自分でもわかってる。
ちょっとずつ、俺のこと意識してくれたらいい。
いまはまだ、ただの友達でも…。
最後に凛久が俺の隣で笑ってたら、他には何も望まない。
…それは嘘かもしれないけど。
だって、きっと。
凛久のことならどんどんほしくなる。
隣にいてくれるだけでいいなんて、大嘘。
好きすぎておかしくなりそうだよ、俺。
凛久も同じ気持ちになってくんね? はやく。
「…森瀬、凛久」
呟いてみたら、しっくりきた。
ね、森瀬凛久になろうよ。
俺はいつでもお前のこと迎え入れる準備、できてんだけど。



