…うん。
わかってた。
それが聞きたかった。
「…夏向はやさしいね…」
思わずつぶやいた言葉。
隣から聞こえたため息に、肩が震える。
「俺、やさしさで凛久のこと好きなわけじゃねえから」
…あ。
夏向の横顔を見て、気づいた。
あたし今、夏向のこと傷つけた。
「…信じれないの分かってるよ。三年間ずっとただの友達だったんだろ? お前にとっての俺は」
夏向は、違う?
友達だけど、友達じゃなかった。
…片想いの、相手。
「俺はさ。…お前に、男として意識されたいって思ってる」
意識。
まっすぐ目を見て、「凛久」って名前を呼ばれた。
「いつになったら俺を男として見てくれる?」
ーードキ、ドキ。
心臓が破れそうなくらい鼓動を速める。
顔、赤いし絶対。
もう、なんでもいい。
…夏向は、ずるい。
…あたしも、歩夢たちのところ行こうかな。
そう思って、立ち上がったときだった。
「芦屋さんあぶない!!」
…え?
気づいたときには、時すでに遅し。
鈍い音と頭に走った衝撃。
重たいバスケットボールがあたしの頭に直撃した。
理解したのは、少し先。
体育館の床に倒れたあたし。
「凛久!!」
夏向の焦った声が聞こえた直後、あたしの意識は途絶えた。



