海の家を出て、凛久ちゃんの姿を探す。
少しあたりを見渡しただけで、人目を惹く容姿をしている凛久ちゃんはすぐ見つかったけど。
俺はそこに向かって歩いて、声をかけた。
「…俺の彼女に何してんの?」
男二人組に強引に話しかけられてた凛久ちゃん。
嫌がってそうだったから、あきらかに高校の同級生とかではないし。
俺の声に安心したのか、凛久ちゃんは俺に抱き着いてくる。
…あー、かわいいんだけどさ。
なんか、いろいろ当たってる。
よくないかも、この体勢。
「ちっ…いこうぜ」
そういってどこかへ消えていったナンパ男たち。
やっぱさ。
凛久ちゃんのこと、誰にも見せたくない。
自分でもはじめて気づいた。
俺ってこんな独占欲強かったんだ。
「み、水湊くん…ありがと」
「うん。……凛久ちゃん、もう帰ろ」
”怖かったでしょ?”とか、”彼氏なんだから当然だよ”とか、言うべきことはたくさんあったけど。
それよりも、俺は嫉妬でおかしくなりそうだった。
「…え? でもまだ来たばっかり…」
「いいから。服着てきて」
「…う、うん」
不服そうな凛久ちゃんを更衣室に追いやって、ため息をつく。
もうダメ。海とかプールとか、絶対ダメ。
凛久ちゃんの水着姿とか目に毒だし。ホント。
…俺だけのモノになってよ、凛久ちゃん。



