「凛久ちゃん、見すぎだから」
「…っ」
顔をつかまれて、正面を向かせられた。
うそ…あたし、今ずっと夏向のこと見てた?
最悪……せっかく、水湊くんといるのに。
「そんなに気になる?」
「い、いや! 全然!!」
もうさ。
いっそのこと、嫌いになりたい。
夏向のこと。
慌てて否定していたところに、噂の人物が寄ってきた。
「食うもん決まった?」
他のお客さんにはちゃんと敬語で礼儀正しいのに…。
相手があたしだからって、なめすぎ。
「え、えっと……フランクフルト、と…水湊くんは?」
「じゃあ、焼きそばで」
「…飲み物は?」
「あたしは…サイダー」
水湊くんはどうする? と目を見つめてみたら、「俺はいらない」と首を横に振った。
「…ごめんね、カナタくん」
頬杖をついたまま、夏向を見上げて。
心こもってないよ。…何の謝罪か知らないけど。
「…別に」
素っ気なく返事をして、夏向は戻っていった。
あれ? 通じたの?
あたしには何のことだか分かんなかったのに。



